よい縁を結ぶにはどうしたらいいのでしょうか?
人生は縁によって大きく左右されると言ってもよいでしょう。
良縁もあれば、悪縁もあります。
ではよい縁を結ぶにはどうしたらいいのでしょうか?
ここにキュウリの種があるとします。
その他ねは納屋にしまっておいただけではいつまでたっても目が出ることはありません。
土地を耕し、肥料を畑全体にいきわたらせて種を植え付ける。
そして、毎日水をやり、雑草を取り除いて、手をかけ、ようやく実りを収穫できるのです。
キュウリの種は原因です。そして発芽や成長のために欠かせない条件のかかわり合いが"縁"です。
"原因"と"縁"がしっかり整って初めて"因縁"が結ばれ素晴らしい結果が出るのです。
仏教は「三業を整えよ」と教えます。
「三業」とは「身業(しんごう)」「口業(くごう)」「意業((いごう)」の三つを言います。
身(体)と口(言葉)意(心)を整えて生活することでよい縁を結ぶ条件がそろうという訳です。
一番目の「身を整える」とは「所作を正しくする」ということです。
姿勢や一つ一つの動作を正すということばかりでなく、正しい法(教え)にしたがって、できるだけ他人のために自分の体を惜しみなく使う。
それが「身業を整える」ということなのです。
人間はともすると自分中心の行動をとりがちですが、そうではなく、まず相手の立場に立ってものを考え、行動するように努めることが大切です。
二番目の「口業(くごう)」(口を整える)とは愛情のある親切な言葉を使うことです。
同じことを伝えるのでも相手の立場や年齢、また人柄や力量によって伝え方は異なって当然です。
その人にふさわしい伝え方をすべきなのです。
三番目の「意業((いごう)」(意を整える)とは、偏見や先入観を排し、一つのことにとらわれることなく、どんな時も柔軟な心を保つことです。
全ではこれを「柔軟心(にゅうなんしん)」と呼びますが、たとえると空に浮かぶ雲の様に形も流れも全く自由自在な心と言っていいかもしれません。
以上の様に身、口、意、の三業を整えることが良い縁を呼び寄せ、結んでいくことにつながるのです。
いつも三業を整えるという意識をもって生活する。
その積み重ねが私たちの人生を実りの多い、さらに人々から祝福されるものに変えてくれる、と言っていいでしょう。
所作はより良き人生を築いていくための、そして美しく生きるための三本柱の一つなのです。
このことを心の片隅に置いておきましょう。
以上は枡野俊明著「禅が教えてくれる美しい人をつくる「所作」の基本」 より一部抜粋&加筆